それまでは、私も冤罪事件の取材で捜査段階の調書を読んで、その矛盾や変遷を検証することができたが、今ではそうした取材が非常に困難になっている。「目的外使用」とされるのを怖れて、弁護士が見せてくれないか、/ジャーナリスト江川紹子

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“Title : それまでは、私も冤罪事件の取材で捜査段階の調書を読んで、その矛盾や変遷を検証することができたが、今ではそうした取材が非常に困難になっている。「目的外使用」とされるのを怖れて、弁護士が見せてくれないか、/ジャーナリスト江川紹子
“Cats : メディア・マスコミ・ジャーナリスト関係
“Tags : 江川紹子,言及予定,弁護士,証拠の目的外使用,冤罪
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人々から隠しておく仕組みが…

そのレペタさんと弁護士たちが書いた『MEMOがとれない・最高裁に挑んだ男たち』(有斐閣)には、こんな記載がある。
レペタさんと弁護士が書いた本レペタさんと弁護士が書いた本

〈法定内メモに対する制限によって引き起こされる問題点のいくつかは、法廷記録を確かめることによって解決することができたはずである。しかし、ここで私は、もう一つの不可思議な障害を発見した。すなわち、日本では、裁判の当事者以外は、審理中の刑事事件の法廷記録を確かめることもまた禁止されていることを知ったのである。裁判所のシステムは、それがどのように働いているのかを日本の人びとから隠しておくように、注意深く仕組まれているようにさえ思った〉

刑事訴訟法では、確定後は「何人も」記録を閲覧できることになっているが、刑事確定訴訟記録法が出来てからは、閲覧が非常に難しくなった。同法が「公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれ」「犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれ」「関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれ」など、様々な「おそれ」を列挙して、その場合は閲覧させなくてよい、としたからだ。

残されたほとんど唯一の道は、当事者(もしくは弁護人)から記録を見せてもらうことだ。しかし、これも2007年の刑事訴訟法改正で閉ざされた。検察官が開示した証拠については、訴訟準備など以外で使う「目的外使用」を禁止する条項が加わったからだ。この禁止は、審理中だけでなく、確定後も続く。弁護士に関しては営利目的でない限り罰則はないが、当事者の場合は一年以下の懲役。それまでは、私も冤罪事件の取材で捜査段階の調書を読んで、その矛盾や変遷を検証することができたが、今ではそうした取材が非常に困難になっている。「目的外使用」とされるのを怖れて、弁護士が見せてくれないか、見せてくれたとしても、それが分からないようにしなければならない。

レペタさんが言う「裁判所のシステムがどのように働いているかを人々から隠しておく仕組み」は、以前よりさらに巨大かつ巧妙になり、国民の知る権利はどんどん狭められているのだ。

引用:裁判の「公開」とは何か~法廷メモを解禁させたレペタさんに聞く(江川 紹子) – 個人 – Yahoo!ニュース

FileName: それまでは、私も冤罪事件の取材で捜査段階の調書を読んで、その矛盾や変遷を検証することができたが、今ではそうした取材が非常に困難になっている/ジャーナリスト江川紹子.html
SentDate: 2014-11-15 13:37:22